Character 14

宮廷儀礼用正装(女性魔術師)

 王宮広間。  光は高く、静かに落ちている。  入口が開く。  足音がひとつ。  遅れて、布の音。  濃紺。  軍服と同じ色。  だが、形が違う。  ランスの視線が上がる。  止まる。  わずかに間が空く。  本来なら一度で終わる確認が、終わらない。  肩。  首元。  白金。  線が固定されていない。  布が、流れている。  (……違う)  言葉にはならない。  だが、判断がひとつ置かれる。  (……似合っている)  視線が、わずかに遅れて外れる。  ***  広間の奥で、貴族たちの視線が動く。  集まり、止まる。  色。  形。  質感。  過剰ではない。  不足もない。  視線が顔へ移り、また戻る。  違和感は残らない。  だが、印象は残る。  「……魔術師隊の」  言葉は最後まで形にならない。  理解は先に済んでいる。  ***  壁際で、隊員のひとりが、わずかに息を止める。  正面を向いたまま、口だけが動く。  「……あれって、軍が用意したのか?」  返答はない。  必要がない。  別の隊員が、ほんのわずかに顎を引く。  視線は動かさない。  だが、認識は共有されている。  「儀礼装、か」  ただ、ひとつだけ、  普段と違うものが、そこに置かれている。  それだけだった。
image 09
← back