Fragment 02

国際魔術管理機構 監査局記録

 監査官は書類を一枚めくり、眉を少し上げた。  「……首都魔術師隊」  隣の職員が椅子を引き寄せる。  「またカルナリアですか」  「ええ」  監査官は続きの行を読み上げた。  「最高位魔術師。ランス・ヴァレン」  沈黙。  机の向かいで、若い書記がため息をつく。  「その人、魔術師隊の隊長でもあるんですよね」  「ええ」  「しかも」  書類をもう一枚。  「高位魔術師エレイン・アルディアの直属上官」  監査官は静かにうなずく。  「つまり」  書記が指を折る。  「最高位魔術師監査」  「ええ」  「首都魔術師隊監査」  「ええ」  「それと」  書類の端を軽く叩く。  「エレイン・アルディア関連監査」  監査官は目を閉じた。  「三件です」  少しの沈黙。  窓の外では、結界塔の光が薄く揺れている。  「……カルナリアは、それでいいんですかね」  若い書記が言う。  監査官は肩をすくめた。  「いいんでしょう」  書類を閉じる。  「この街は、昔からそういう国です」  机の端に、新しい封筒が置かれる。  封印には、カルナリアの紋章が押されていた。
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